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経営者を悩ませる「最低賃金」大幅アップに隣県格差　人材獲得競争に打ち勝つポイントは【岡山・香川】 (24/09/26

１０月から最低賃金が改定されます。岡山県は現在から５０円アップされ９８２円に、香川県は５２円アップの９７０円に引き上げられます。収入アップにつながると期待が高まる一方、ある不利な条件を理由に頭を悩ます経営者も…現状を取材しました。 岡山県早島町に本部を置き中四国地方を中心に約１００店舗のスーパーを展開するハローズ。倉敷市のハローズ中庄店では、約８０人のパート従業員が働いています。 既に、最低賃金よりも高い時給が支払われていますが、１０月１日から更に時給が５０円アップされます。 （パート従業員は…） 「うれしい限り、ありがたい。賃金が上がるとモチベーションも上がる」 （ハローズ人事教育部　奥原孝次長） 「岡山県内のパート・アルバイトは全店舗で一律５０円アップ。ハローズが好業績なので従業員に還元しようと決断した」 最低賃金とは、パートやアルバイトなど非正規雇用も含め全ての労働者に適用される賃金の下限額で下回った場合、企業には罰金が科されます。１０月２日から改定される額は、岡山県・香川県ともに最低賃金を時給で示すようになった２００２年度以降、最大の引き上げ幅となりました。 これについて経済の専門家は… （岡山大学大学院　中村良平特任教授） 「食材や加工品、ガソリンなどすごく値段が上がっている。不動産もそう。そういった中で考えると、もっと引き上げてもいい気がする」 最低賃金は、物価などの「労働者の生計費」「労働者の賃金」そして「事業者の支払い能力」。これら３つの要素を検討し、各都道府県で決定されます。つまり、最低賃金は住んでいる自治体によって異なるため、近隣地域をみると兵庫県が１０５２円、広島県が１０２０円と１０００円を超えていて、この格差による影響が懸念されています。 （岡山大学大学院　中村良平特任教授） 「県境というか、空間的な区切りがある所で、例えば片方が良くてもう片方が悪いと、どちらかが片方へ漏れ出す「スピルオーバー」がよく起こる」 「スピルオーバー」が起こるとどうなるのか…実際に影響を受けている飲食店を訪ねました。 備前市日生町にある「カキオコ屋　暖里（ゆるり）」です。現在、平日は主に２人のパート従業員で営業していますが、これから迎えるカキのシーズンを前に８月から追加の人材募集を始めました。その時給はなんと… （カキオコ屋暖里　中村智浩オーナー） 「土日祝日と、週５日勤務できる調理スタッフを１３００円で募集している」 経験や能力によって時給に差はありますが、岡山県の最低賃金９８２円と比べるとかなり高い設定となっています。さぞかし応募が殺到しているかと思いきや… （カキオコ屋暖里　中村智浩オーナー） 「現時点では全然応募がない状態。日生は兵庫県との県境で、（隣の）赤穂市からパート・アルバイトに来てもらうには賃金を岡山価格ではなく兵庫価格にしないと人を集められない現状」 オーナーの中村さんによりますと例年この時期に募集をかけると数日後には数件の応募があるそうですが、２０２４年はまだほとんどないとのこと。しかし、原材料価格や電気代の高騰もあり、これ以上、時給を上積みするのは難しく、時給以外のアピールポイントを模索しなければならない状況です。 （岡山大学大学院　中村良平特任教授） 「賃金だけで人は動くわけではない。厚生、福利や生活環境もある。地方創生いろいろな意味で地域間の格差が縮まれば賃金の格差も縮まる。地方が頑張れば格差は小さくなる」 実は、オーナーの中村さんは、年間を通して、日生町に人を呼び込もうと、他の飲食店などと協力して、２０２４年７月、冷凍のカキを使ったグルメイベントを実施、約７０００人を集め、成功を収めました。この経験から、カキオコに関わる仕事は町おこしや情報発信に興味がある人に魅力を感じてもらえるのではと考えています。 （カキオコ屋暖里　中村智浩オーナー） 「岡山では有名になったご当地グルメなので、ご当地グルメのＰＲや地元の特産品を売る事に積極的な人に来てほしい」 地方で企業が生き残るには高い賃金だけでなく、そこで働きたいと思えるやりがいや魅力づくりが求められています。