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千年の伝統「相馬野馬追」にかける２０歳の女性武者…３年ぶりの通常開催に最後の出陣【福島発】 (22/07/31

２０２２年７月２４日、３００を超える騎馬武者が集った福島県南相馬市の雲雀ヶ原祭場地。 その中に最後の出陣となる女性の姿があった。 大木戸琉菜さん２０歳。 大木戸琉菜さん：「野馬追って年齢制限があるので、１年出れないというのは悔しくて」 新型コロナウイルスの感染拡大により規模が縮小された２０２１年の「相馬野馬追」 神旗争奪戦や甲冑競馬は見送られ、南相馬市では神事だけが行われた。 野馬追で女性の参加条件は『未婚の２０歳未満』 ２０２１年は１９歳だった大木戸さんにとって出陣する最後の機会だった。 大木戸瑠菜さん：「昔からの伝統で年齢制限がされているので、別にそこは何とも言えない。それも伝統なのかなって思います」 叶わなかった出陣・・・。 野馬追の執行委員会は２０２２年、３年ぶりに通常規模での開催を決定。 大木戸さんを含めた５人の女性武者の思いを汲み、特例措置として『２０歳・２１歳の未婚女性』の出場を認めた。 大木戸瑠菜さん：「出れなかった分出させてもらえるって凄い嬉しくて、今年最後なんだからと思って、（甲冑）競馬と旗獲り（神旗争奪戦）はもう『やり切ろう』と思って練習してきました」 ７月２３日、南相馬市の北郷騎馬会。 「相馬もののふの心意気一挙手一投足を余すことなく、ご照覧いただきますようお願い申し上げます」 総大将を迎え入れる『北郷陣屋』 出陣を果たした大木戸さんは法螺貝を吹く「螺役」（かいやく）を担う。 相馬言胤総大将が到着。 「初陣にして凛々しくも威風堂々の着陣でございます」 相馬家第３３代当主・相馬和胤さんの孫・言胤（としたね）さん。 新たな総大将として伝統を受け継ぐ。 相馬言胤総大将：「度重なる災害、疫病からの早期の復興を願い全騎馬を会場に向け威風堂々進軍してほしい」 ３年ぶり、そして新たな総大将の初陣を飾る行列。 大木戸さんも法螺貝の音で隊列を整えながら雲雀ヶ原祭場地へと向かう。 ７月２４日、迎えた本祭り。念願だった「甲冑競馬」に緊張が高まる。 大木戸さんは最初の出走、その時を待つ。 大木戸瑠菜さん：「スタート切った瞬間に吹っ切れて行くぞ見たいな感じで、乗っている馬が、何て言うんですか・・力強く走ってくれるのを信じて乗ってました」 『人馬一体』風を切りながら駆け抜け、見事、１着を掴み取った。 大木戸さん：「１着になると信じてなかったので、練習した成果が出たのかなと思います」 羊腸の坂を駆けのぼり総大将のもとへ、観客から大きな拍手が送られた。 コロナ禍前と変わらない騎馬武者の思いと熱気に包まれた相馬野馬追。 大木戸さんも全てを出し切った。 大木戸瑠菜さん：「悔いはなかったのでよかったなと思いますし、自分も自分でちゃんと楽しめた野馬追だったのでよかったなと思います」 心に刻まれた最後の出陣。今後は支える側として伝統を守り続ける。