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Bach "Chaconne"BWV1004 on Tenor Recorder(1/2)（バッハのシャコンヌ　リコーダー用オリジナル編曲）

リコーダーでバッハの「シャコンヌ」を吹けるようになりたいと思いました。 18歳の頃でした。 その頃は東京に住んでいました。 世の中はバブル景気で沸き返っていましたが私の生活はそれとは関係ありませんでした。 アルバイトのようなことをしながら「シャコンヌ」の練習をしていました。 ************************************* 20代の終わりの頃、ベルギーに渡り、彼の地でプロのリコーダー四重奏団に 参加しました。 傍目には華やかな演奏活動だったのではと思います。 ドイツ・グラモフォンのCD制作にも参加しました。 しかし私はバッハの「シャコンヌ」が吹けるようになりたかったのでした。 アンサンブル奏者としての機会は沢山、与えてもらったのですが、 独奏者としてヨーロッパでデビューすることは出来ませんでした。 ************************************* 2001年に日本に帰って来ました。 最初「この曲を吹きたい」と思ってから練習を始めてから随分、長い時がたっていました。 その頃は「この曲が吹けるようになったら死んでも良いのだ」なんて、そんなことを 本気で思っていました。 ************************************* ほぼ「シャコンヌ」が演奏できるようになって来た頃、初めてヨーロッパの音楽大学から マスタークラスの講師を依頼されました。 ドイツ、ベルギー、イギリスで講義をして、各地で小さなリサイタルをさせてもらいました。 その時に「シャコンヌ」も演目に入れました。 幸い、大変高い評価をいただきました。 その後も機会があるごとにバッハの「シャコンヌ」を演目に載せました。 ************************************* しかし私はひとつのことに気が付きました。 いくら演奏の回数を重ねても理想の演奏は実現しないのでした。 長い時をかけて恋焦がれてきたシャコンヌは決して本当の音になって現れては来ないのでした・・・ 「シャコンヌ」というのは女性の名前に似ています。 勝手に何十年も恋焦がれて付きまとったら、今だと迷惑行為防止条例にひっかかります。 ある時、これ以上この曲に執着することは出来ない、と私は思いました。 その時「我が青春は終わりぬ」と思いました。 ************************************* でも青春が終わってしまっても何か出来ることはまだあるはず。 2020年から2021年にかけて世の中の流れが大きく変わりました。 そんな中で出来ることはないものかと考えました。 バッハの音楽との出会い、右も左もわからない中での練習の時期、ヨーロッパでの演奏活動、それらを通して得られたささやかな何かを皆さまと共有できれば幸いです。 吉嶺史晴（よしみねふみはる） sheet music 楽譜 http://nangokurecords.com/bachciaccon...