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元后 あわれみの母（典礼聖歌374番）

詞：典礼聖歌編集部 曲：髙田三郎 聖歌隊 南山大学スコラ・カントールム Advent Prayer 救い主の降誕を待ち望んで 2020年12月20日 神言神学院 今から20年前，信仰と音楽のうちに生涯を過ごした髙田三郎は，86歳で世を去りました。その帰天5周年を記念して，2005年に南山学園が主催した「髙田三郎作品による『ひたすらないのち 愛知演奏会』」をきっかけに，当聖歌隊の正指揮者である西脇純准教授（当時）を通じて，髙田留奈子夫人より髙田の手稿譜を含むいくつかの資料が同大学図書館に寄贈されました。髙田の典礼聖歌作品を継承することは，私たちが果たすべき一つの使命であると考えています。 典礼憲章の発布後，髙田が国語による典礼聖歌作曲の先導役を務めたことはよく知られていますが，実際には第二バチカン公会議以前から，日本でも信者の「行動参加」を合言葉とする典礼運動が行われていました。すべての信者が典礼の本質を理解し，祈りの心でもって自発的にこれに参与する。こうした時代の要請を背景に，聖歌集改訂委員会の委嘱を受けて作曲された「やまとのささげうた」が，髙田の典礼聖歌作品の原点となりました。従前からグレゴリオ聖歌のテキストを「意味」としてだけでなく，「祈り」として唱えることを目指していた髙田は，ゴーセンス神父らをはじめとする委員会のはたらきを受けながら，「日本人の祈りの心と一致する」聖歌作曲に後半生を捧げたのです。 アドベントクランツに最後の明かりが灯る今日，私たちに「道を示す」かた（Ὁδηγήτρια ホディギトリア）であるマリアに目を向けることで，神への信頼を確かなものにしたいと思います。マリアは御子の母であるとともに，「信仰の旅路」にあるすべての神の民にとっての希望，慰めのしるしです。今年5月11日に101歳で帰天した留奈子夫人が，「あわれみの母」である聖なるかたに迎えられ，天の国へと導かれることを願いながら，髙田の典礼聖歌を捧げます。また困難の最中にいる私たちが，神に自らをあずけることを恐れず，十字架に至るまで御子を見つめ続けた私たちの母のように，信仰によってキリストに従うことができますように。 2020年12月20日 指揮　加藤 恵太